生姜異物強壮

オーヴァーロードの生姜異物強壮のネタバレレビュー・内容・結末

オーヴァーロード(2018年製作の映画)
2.8

このレビューはネタバレを含みます

自分の感じとしちゃ『アンダーロード』。ジメジメした地下の迷宮みたいな残像だけが網膜の隅に残る。

トレイラーも何も観ず いきなり鑑賞したからか。昔っからの定番B級ネタみたく、あるいは近年のゲームネタみたく、もっと大勢のナチ兵ゾンビが(次から次へと)襲いかかってくるのかな♪と、勝手にイメージしてた。

ハズレ。別にゾンビ連隊は登場しない。襲ってくるのは(実験台にされた)元村人や"敵"兵らで、延べ10体にも満たない。その身体も、想い描いたほどオゾましく醜悪には変異しておらず、せいぜい頭髪が抜け落ちたり表皮が粘膜質になる、動脈が赤黒く隆起する…といった程度。よくある、背中に腕が生えるとかのエグい奇形はない。その代わりに、瞬発力や腕力だけが超人的になる。

言うなれば、人造クリーチャーではなく、人造モンスターだ。

CGでド派手に弾ける「ビジュアル的な山場」も、冒頭の落下傘?降下と終盤の教会大爆破の場面、わずかに2回のみ。両シーン合わせて2分あったかどうか。

主人公の黒人米兵がフランス語話したり、たまたま身を匿うフランス人女性が英語やドイツ語 駆使したり、逆にナチ将校がフランス語や英語話したり、「ことばの演出」的にはキッパリ『迫真性よりエンタメ性』と割り切ってるクセに、肝心のストーリーラインが煮え切らず、そのエンタメ性に欠けている。

【1】ナチスドイツが降伏真際、ゾンビ技術を実戦投入する寸前だった
…という基本設定、例によって
【2】紅一点ヒロインが純情可憐に登場しときながら突如"女ランボ―"に豹変する
…って辺りだけが荒唐無稽で、その他には特段「ぶっ飛んでる」ところが無いのだ。

あげく潜入米兵が、捕らえたナチ将校に残忍な拷問の限りを尽くす場面に至っちゃ、(そこだけ妙に突出してリアルで)シリアスな社会派ドラマかと思ったぞww

総じてホラー主体にしたいのかアクション主体にしたいのか、どっち付かずのままエンドロールまっしぐら。そんな苦闘の限りを尽くし、尊い犠牲を払いながら《残忍非道な極秘研究所》を粉砕撃破したのに、イザ村に戻ったらナチは降伏済み。連合軍が駐留し、村じゅう満面の平和ムードぉ。

おいおい。

だったら教会、出口だけ爆破して封鎖しただけに留めといた方が、のちのち(連合軍による調査分析にゃ)重宝したろよw そも、降伏(しそうな劣勢)国の重要な軍事開発施設は「無傷で接収を目指す」が定石と違うんかい!!

…とかとかね。もう、終わりっぷりまで「ちゃんちゃん♪」な効果音が聞こえてきそうな不完全燃焼★体験、なのでした。