叡福寺清子

オーヴァーロードの叡福寺清子のレビュー・感想・評価

オーヴァーロード(2018年製作の映画)
4.2
冒頭からの音圧で「良し」と判断.そしてその判断は間違っておりませんでした.109分間の緊張感.本作が長編2本目である監督,並大抵の技量ではございません.初長編である「ガンズ&ゴールド」ですが,どっかで配信してるでしょうから慌てて視聴しなきゃいけません.ラストの開放された村のシークエンスがあって本当によかったです.ほっと一息ついて劇場を後にすることができます.
タイトルのオーヴァーロードは勿論D-Dayを含めた連合国による上陸作戦のコードネームであると同時に,千年王国の戦士が人間の存在より上に立つ存在,「幼年期の終わり」風に上帝という意味と捉えることができましょう.個人的には凡百なB級娯楽の上に立つものという感じもしました.
冒頭の上陸作戦空挺部隊のシークエンスから魂を作品に持っていかれました.輸送機のプロペラ音,防空兵器の破裂音,銃弾が機体を貫通する際に奏でられる金属音.4Dというものを体験したことがないのですが,あれは匂いも体験できるのでしょうか.もしそうであれば是非本作を4Dで再視聴してみたいものです.陳腐な言い回しですが「劇場が戦場に」なったと感じられたかもしれません.
どうにか地上に降下するも.ドイツ兵が索敵を怠らず,極度な緊張状態を強いられながらの移動.でもそこにも死は待ち構えていました.あれはびっくりしました.戦場こえぇぇぇぇ.
でも一番怖いのは本作においてはここまでがオードブルって事.私達をどれだけ楽しませてくれるんだい.
ボイス二等兵がドイツ軍の基地に侵入するシークエンス.既視感あるなと思ったらホステルでした.顧客が享楽を甘受するシークエンスで観られたゲテモノ感が蘇りました.そういやぁホステル1・2も極度に緊張感を強いられる作品でした.この後繰り広げられるパラダイスは皆様の目で確認下さい.
で,みんなが大好きな伍長さんの事を視聴後確認したら,カート・ラッセルの息子さんだそうですね.その事を既知状態で視聴したら,スネーク・プリスキン意識してね?ってなったかもしれません.父親がニュー・ヨーク1997でブレイクしたように,息子さんも本作でブレイクしませんかしらね.もし1997のリメイクするんだったら,スネークはそのまま息子さんでいい感じだと思うのですが.