エクストリームマン

オーヴァーロードのエクストリームマンのレビュー・感想・評価

オーヴァーロード(2018年製作の映画)
4.1
How's it feel to have blood of eternity inside you?

意外な良作、掘り出し物感。ジャンルが変転していくジャンル映画ということで、『ゲット・アウト』を思い出す。ナチスが優生思想をストレートに実現しようとし、そしてそれが成功してしまったら…というトンデモを、戦争映画と混ぜることでキャラクターの感情面含めて非常に巧みに処理している。

冒頭のパラシュート降下前の輸送機内ブリーフィングからの対空機関銃砲撃を受けた機内の惨状からの降下からの地雷からの教官の最後…という息もつかせぬハードコアな描写が炸裂する場面は映画の白眉であり、その後のトーンを決定付ける宣言でもある。ジャンルが不穏に移り変わっていく間も緊張が緩和することもない。

反りが合わなかった決死隊の面々が徐々にチームとして機能し、やがて見過ごせない野望を前に結束していく戦争モノ、チームモノの王道で楽しませつつ、「オーヴァーロード」計画の産物である彼ら彼女らの描写もゴシックとスチームパンクのキメラとして良くできていて、恐ろしくもあり、悲惨さもあるという塩梅が実に上手い。この感覚で、いくつものジャンル映画を融合させた一連のシリーズorユニバースが形成されるのなら観てみたい。