川島雄三の短編。松竹創設30周年を記念した「松竹映画三十年 思い出のアルバム」と、当時に同時上映された作品で、松竹大船撮影所の内部の様子が撮影されている。
プロモーション的色合いのある、川島の初期の作品だけど、サイレントのような雰囲気とモダンさの両方があって面白い。
探偵がスリを追い掛けるというシンプルなストーリー。スリが撮影所に逃げ込むので、多数の俳優がゲスト出演する趣向で、とても楽しい。
川島雄三はカメラはあまり動かさずに、人を動かすことで見せることが多いと思うんだけど、この作品もそれが生かされていて、大きなセットの中で探偵とスリ、警備員の追い掛けっこなどが、面白い見せ場になっている(ただし後の作品に比べるとシンプル)。
探偵役の日守新一は、松竹時代の川島作品の常連の1人だけど、こんなにモダンでコミカルな役もできる人とは思わなかった。今作での彼は、まるで川島作品のフランキー堺。動いてる列車に窓から乗り込む場面など、アクションもうまい。
「松竹映画の100年」
同時上映「松竹映画三十年 思い出のアルバム」