ショウコ

ナイチンゲールのショウコのレビュー・感想・評価

ナイチンゲール(2019年製作の映画)
3.5
復讐に燃える女と原住民ガイドの地獄めぐりロードムービー🔥色々レヴェナントっぽい

この地獄ってのが「イギリスによるアボリジニ大虐殺」という史実なんですけど、白人至上主義とはこういうものだ!とばかりに差別ワードがぶつけられ非道行為の数々が見せられます。「動物を狩る様に戦利品として頭部を持ち帰る🔪」ってのも大袈裟ではなく実際にやってたんだとか。人間というものに絶望せずにはいられません

そしてものすごく居心地が悪かった。旦那の目の前でレイプしたり森で女を見つければ犯した挙げ句に射殺したり…日本もかつてアチコチ侵略して似た様な事やってたんだよね。この映画が作られた事と、日本で上映された事に大きな意義を感じました。こういう包み隠さない表現が出来る様になってきたんだなぁ。ポリコレってのは臭いものにフタをする口実なのかも知れないですね。いずれ日本のしてきた蛮行も映画として世界に発信されたら良いと思う(セデック・バレぐらいしか私は観た事がない)

でも心のどっかには(いやいや流石に誇張表現っしょ?)という疑いもあったので調べてみたらさらにトンデモない話がわんさか出てきて血の気が引いた😨オーストラリアホラー好きなクセに歴史は全く興味なかったもんだから自分自身にショックです



ただ…前半でハードさを見せつけてきた割に物語としてはアマくて。重みに欠ける理由はいくつかあるんですが一番は「道案内ビリーの超人エスパーっぷり」でしょうか。自分の庭みたいなもんなのは分かりますけど、足跡で人数から体格、向かった方角まで読み取れちゃっておいおいって感じ。あんなのコナンくんでも無理ですよ。サイコメトリー能力でもあるみたいでどんどんファンタジー化してってました

各種御都合も気になります。「たまたま歩いてた夫婦」「たまたま通りかかった馬車」「たまたま後ろに乗ってて再会」「たまたまターゲット発見」など、生命すら危うい広大な森とされてんのにエンカウント率が高すぎて…
警官を呼べ!イェッサーは不自然だし、警官到着を待つ様にボーっと覗いてるのもおかしいし、出世の不安要素を放置してテクテクどっか行っちゃうのもなんだかなぁ…。歌を黙って聴いてるのはどうした事か?終盤になるほどフワフワしていき興味が薄れていくのを感じた。
服装とか髪が「汚いけど小綺麗」なのも不満である

あとこれ、まるっきり舞台の説明が無いんですよね。あらすじに書かれてるから「19世紀オーストラリア」とみんな知ってるんだけど、テロップひとつ出てこないし台詞にもそれっぽいキーワードが無いので背景が全然分からない。あまり描かれて来なかった(目を背けてきた)人類の恥にせっかく触れてるのに説明ゼロなのは勿体ないと思う



お乳が張る描写にはハッとした。良い視点🤔悪夢っぽさ全開の「旦那と踊ってる記憶」とか殺された赤ちゃんの声など、PTSDの見せ方は手慣れててベテラン感すらある。ババドックしかり闇ファンタジーを表現するのは得意みたいですし、こちら路線の方が合ってるのかも知れませんね

放尿シーンが入っていて、女性監督あるあるの自説がまたひとつ裏づけられた思いです
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