城岩いと

ナイチンゲールの城岩いとのレビュー・感想・評価

ナイチンゲール(2019年製作の映画)
4.0
「イングロリアス・バスターズ」や「ジャンゴ」より遥か前に語られるべき悲しい物語。

終盤あたりでこの話は「もののけ姫」の精神的な兄妹なんじゃないかという気がした。
主人公はイギリス人にすべてを奪われ、人ではないものになってしまう。
強い精霊、悪い精霊といったアボリジニの言葉が出てくる。
〝激しい復讐心は、人を人ならざるものにしてしまう〟ともこの映画は語っている。

「もののけ姫」のアシタカは呪いを受け、それを治すため旅立ち、欲深い人間たちやシシ神と森を守ろうとする古代の神々に翻弄され、やがて本来の目的を忘れ、森と人間たちとの掛け橋になろうとする。

サンは人間を敵視していたが、自分も半分は人間であると気づいてから、アシタカとともに行動する。

クレアはアシタカのように、森に住む人々に協力するわけではない。ただ、自分も同じだと感じているようだ。

結局、人間は私利私欲のために生きる自己中心的な生き物なんだろうか。答えが出ないまま暗い場所にいるような気分だ。
それはいまの世界の状況も、そうである。
城岩いと

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