mrかっちゃん

7月22日のmrかっちゃんのレビュー・感想・評価

7月22日(2018年製作の映画)
4.6
「ボーン3部作」でアクション映画に革命を起こしたグリーングラス監督のノンフィクション映画。
2011年7月22日に発生した連続テロ事件を題材にした作品。

監督のドキュメンタリータッチなリアリティのあるカメラワークで題材が持つ社会的なメッセージがより心に突き刺さってきた。

冒頭街から離れた島でサマーキャンプをしている若者たちの姿と、並行して男ブレイビクが怪しげな材料を調合するシーンが映し出される。
その後そのブレイビクはオスロ政府庁舎前に白いバンを止め立ち去りその島へと向かう。
ブレイビクが移動している最中白いバンは大爆発し平穏に包まれていた街中心部を混乱と恐怖に変貌させる。
島に降り立った男はスナイパーライフルを取り出し、若者たちを見境なしに撃ち殺し始める。
その惨劇の中5発の弾丸を、受けながらも命を取り留めたビリヤル。
ブレイビクはあっさりと捕まるのだが、本当の戦いはここからだった。

心に残った癒えない傷とどう向き合うか、
そしてこれからの人生をどう生きるか。
テロリズムを題材にしつつひとりの青年が新たに人生を再出発する姿に焦点が置かれているように思えた。

最後の裁判でブレイビクに対してビリヤルが自分の思いを伝えるシーンは、これからしたいこととテロを受けて自分はどう変わったかを淡々と訴えていて心に響いた。

事件やテロで自分が被害者になったり大切な人が突然居なくなったらその以前の生活には決して戻れない。
でもそれを乗り越えた先に見える確かな希望をこの作品から感じ取ることが出来た。
Netflix映画を代表する力強い作品でした。