スクリーン

ROMA/ローマのスクリーンのネタバレレビュー・内容・結末

ROMA/ローマ(2018年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

色も無く、俳優は無名の人ばかり、派手な演出も無く、
アクションも無い。
でも、静かに心の奥底にしみ込んできます。
監督の実体験が元になっているとのことですが、
監督の乳母クレオへの気持ちが伝わってきます。
経済的に裕福な監督の家庭と、雇われているクレオとの関係は
全く悪い訳では無く、それどころかとても信頼されていると思う。
でも、休みなく家族の為に朝から晩まで働くクレオの姿に
やっぱり大変だなっと思ってしまう。
歴然とした格差があると思う。
でも、豊に見えるソフィにも悩みが、夫が他の女の所へ行ってしまい
帰ってこなくなってしまった。
そんなソフィが妊娠したクレオを解雇することなく、
病院まで連れて行ったことにホッとしました。
クレオにとって解雇は一番恐れていたことだと思います。
そして「血の木曜日事件」の勃発、クレオの死産へと悲劇が続きます。
ゆったりとした前半から急展開してきます。
しかし、波にさらわれた子供たちを泳げないクレオが助けることで、
悲劇から立ち直っていくクレオの姿に希望を感じました。
助けた子供達と抱き合うシーンは、神々しく圧倒的でした。
やっと本当の家族になれた感が強く伝わってきます。
愛情に満ち溢れていて、監督の強い思いが感じられます。
それにして、この映画で出てくる男性は、
逃げてばかりで、情けないですね。
力強い女性を感じました。
ラストのクレオが飛行機を見上げるシーンに希望を感じました。

こう言うエンタメ的要素が無い映画が劇場で上映されないことは
理解できますが、とても残念です。
カンヌでも劇場公開されていないことで、排除されたとか。
うーん、映画の概念が変わった作品となったのではないでしょうか?
劇場公開しても、しなくても心に残る名作はいつまでも残っていくと思います。
スクリーン

スクリーン