とえ

ROMA/ローマのとえのレビュー・感想・評価

ROMA/ローマ(2018年製作の映画)
4.5
東京国際映画祭にて鑑賞。

とても、感動した

最後には堰を切ったように、ポロポロと泣いてしまった

1960年代後半から1970年代のメキシコを、ある中流家庭に仕える家政婦クレオの視点で描く

ベネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞した作品
しかし、映画館で観られる機会は今日しかないということで、観に行ってきた

その当時、メキシコシティで幼少期を過ごしていたキュアロン監督の体験も盛り込まれた作品なんだとか

主人公のクレオが雇われていた家庭は中流家庭で、一家の主人であるお父さんは出張と言っては、外で二重生活を送るような人だった

妻のソフィアは4人の子供たちを抱えながら、帰ってこない夫に苛立ちを募らせる

そんな家庭を陰ながら支えていたのが、家政婦のクレオだった

その頃のメキシコは、オリンピックを終え、高度経済成長期に沸き、活気があった様子が描かれている

しかし、そのせいなのか、男性たちは経済発展の波に乗り、とても勝手で「女なんかに構ってられない」といった雰囲気

子供を作ろうが、妊娠させようが
そんなことよりも、新時代への理想に燃えているといった感じ

そんな浮き足立った男性たちの影で、地に足をつけて家庭を支えていたのは女性たちだった

主人公のクレオは、自分自身にま不安なことが起きているにもかかわらず、嫌な顔一つせず、毎日、女主人や子供たちのために働いている

恐らく、キュアロン監督自身が、そういう環境で育ち、一流監督の地位を得た今だからこそ、感謝したい家政婦がいたんだろうと思う

そんな監督の気持ちを代弁するかのように、子供たちは、クレオを本当の母のように慕い、愛情を注ぐ姿には涙が溢れてしまった

きっと、クレオも自分の子供のように思っていただろう

そこには、血縁を超えた相思相愛のピュアな愛情があって、その純粋さがこの映画を美しく輝くものにしている

家政婦と雇い主の間には、明らかな階級の違いなど、どうしても超えられない壁があるけれど、この映画の一家は、そんな壁を超え、クレオは家族の一員だと思えたところがとても良かった

だからこそ、キュアロン監督は、そんな家庭ですくすくと育ち、今の地位を築くまでの人物になったんだろうなぁと思った
とえ

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