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ROMA/ローマのgnのレビュー・感想・評価

ROMA/ローマ(2018年製作の映画)
4.5
何となく好きになる映画は、「ある時点」から始まり、また別の「ある時点」で終わる映画、が多い。映画の前後にも物語が存在することを感じると、映画自体のあらすじは小さくとも、大きく且つ普遍的な物語に思える。

このROMAもまさしくそれに値する映画だった。
主人公クレオの視点からも、クレオを取り巻く社会の視点からも。

映画自体は中流階級の家庭で働くお手伝いさんを描く物語。
序盤の何でもない日常のシーンがとても穏やかで、クレオ達が生活する屋敷がとても印象的な作りをしていたのも良かった。

物語はある出来事を機に大きく転換するんだけど、そこからキュアロンの慈しみを感じさせる海のシーンまでがすごく良かった。

始終クレオを演じている女優さんの優しくて、でもぎこちない表情も味わい深くて素敵だった。

とりあえずあのフルチン武術野郎は万死に処したいけど、平和と隣り合わせにある日常の危機を描く方法としては本当に秀逸だと思う。
生活に社会の不安定さが侵食してくる描写があるからこそ、あの家族の尊さも輝くというか。

とにかく観終わった後の読後感(に代わる映画バージョンの言葉はないのか)が心地良い1作。
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