好きか、と言われると好きではないかもしれない。でも圧倒された。トゥモロー ワールドでも長回しがすっごく上手いなと思ったアルフォンソ・キュアロン監督作品。
比較的誰にもフォーカスしないので、みなさん仰るように途中までは淡々として、観ながら残り時間を気にしたりしました。
何かとんでもないことが起こるのかな？
いえいえ、市井の人々の日常を切り取っているのでそんなことはありません。でも、時々起こる大波小波。何もないように見える生活だけど、実はドラマだらけだと気付かされます。
振り返れば私の人生にもドラマはあったよ。キュアロン監督に撮ってもらえば見応え充分かも！
なんて。
クレオの足下の小さなさざなみから始まる物語が、飲み込まれるほどの大波を経て、空でクライマックスを迎える、というのが粋。
数日の後。
何を描こうとしているのかがはっきりとは理解できてないにもかかわらず、ここまで余韻を残す映像体験はなかなかない。
なんでだろう。
って思ったとき、なんせ賞レースに乗っかってるものだから、これがキュアロン監督の体験に基づく、お手伝いさんへの愛情と尊敬の念を含んだ話だと知るわけです。
なるほど。納得。
それをこんな風に表現できる人はほんとうに稀有だと思う。すごい人がいるものだ。そして家に居ながらにして見ることができる私は幸せだ。
