白黒の世界が、カラーの世界を超えることがあると
信じることができる映画。
幸いにも近くの劇場で公開されていたので、観てきました。
息を飲むような映像美に驚かされる。
鳥のさえずり、飛行機、波、すべての音。
眼も耳も足りず、受け止めきれず溢れだして、もう一度観たいと思う。
死や、別れが、争いがある一方で、淡々とした日常が進んでいく。
淡々としつつも、彼女の表情の移ろいが全てを物語り、
他には何もいらなかった。
観ている間に自分の体も沈みこんでいくようだった。
飛行機がはるか遠くのものではなくなったかのような。
彼らの冒険は始まったばかりだが、末の息子の言葉になんだか
彼らの旅路には日が差しているのだろう。
周りが変わろうと、彼らは一緒。
まだ観ていたいと思わずにはいられない。
映画を映画で例えるのは不作法とは思うが、
エンドロールを観ている間、東京物語を観終わったときと
似たような感覚だった。
やっぱり劇場で見られてよかった。