たえぴょん

ROMA/ローマのたえぴょんのレビュー・感想・評価

ROMA/ローマ(2018年製作の映画)
4.0
映画館で観られたことに感謝します。イオンシネマありがとう。しかも年齢割引でとても安かった、イオンシネマありがとうありがとう。
  
各種映画賞で話題になりはじめた頃からこの映画を観るためだけにNetflixに入るかどうか悩み続けていましたが、アカデミー賞効果なのか映画館で観られて本当によかった。
どうしても家だと集中力が続かないので映画館で観たいのです。
 
モノクロ映画なのに色彩が感じられる美しい映像と映画館ならではの音の数々。くっきりと浮かび上がる木の葉などモノクロならではかも。
 
ストーリーはある家族と女中の1年間。(召使いとかお手伝いさん家政婦などと言い換えてるの、良くないと思う。女中ですね。)
 
メキシコの歴史、特に現代史をざっとでも目を通しておけばもっとわかりやすかったかも。地震やデモ隊衝突など、日本で言えば七十年安保とかそういう感じなのかな。何々の時どこでどうしてた?は世界中にあるんでしょうね。アメリカだと昔はケネディ暗殺のとき今は同時多発テロか。日本だとオウムサリンや大震災。
 
私はどうしてもこの一家が、先祖がスペインからやってきて原住民を征服したあげく、その原住民の末裔を女中にしている支配階級ってのにひっかかってしまって、いい話にはとれなかったです。
でも批判でも共感でもなく淡々と語る監督の手法は嫌いじゃない。
主人公の出産シーンと海での慟哭シーンで2回泣きました。主人公役の女優さん、かわいい。
 
レビューを見ると主人公と一家が家族になれたとか主人公が帰る場所を見つけたなどが多いように思いますが、えー、うっそーん、って思ってしまいました。
あくまでもあっちとこっち、違う円の中にいる人がある時弱みをみせあい共鳴しあえたことがあった話、というだけでは?
だから価値がないとかでなく。それだけでも充分に観る価値はあります。
 
理不尽な立場の話なのに乾いてるがカサカサではない、深刻な話の中に妙に爽やかですっきりした不思議な感覚と気持ちよさのある映画でした。