じぇれ

ROMA/ローマのじぇれのレビュー・感想・評価

ROMA/ローマ(2018年製作の映画)
4.4
【生きてりゃいろんなことがある】

1970年、メキシコ。医師一家に仕えるクレオは恋に落ちる。しかし、その恋がさざ波のように彼女を苦悩の1年へと誘っていく...

「映画は総合芸術である」
往々にして驕りを感じさせるため、私はあまり好きな言葉ではありません。しかし、本作にはこの言葉がしっくりきます。

美しいモノクロ映像で綴られるこの物語には、ドラマティックに煽る音楽がついていません。あるのは、彼女を取り巻く環境音のみ。
フレーム外の世界を押し広げ、私たちを50年前のメキシコに連れて行くだけでなく、クレオの内面へと誘っていく環境音。
効果音の取捨選択だけで、こんなにも映画が豊潤になるのかと、心底驚かされました。
これぞ総合芸術!

こんなことを書くと、小難しい映画と勘違いされそうですね。
でも、そんなことはありません。
これは私たちの周りにごろごろ転がっている、市井の人々の物語。

冒頭、心静かに画面に集中し、耳をすませてください。
きっとヒロインに自分と近しいものを感じられるはずです。
『この世界の片隅に』同様、昔のようで昔ではない、今の私たちを描いた物語なのですから。

※Netflixさん、これは劇場公開が大前提の作品じゃないですか!
賞を獲得してブランドイメージを上げたいのはわかりますが、これは買い付けないでほしかった......
でも、こうやって日本でも劇場公開してくれたことには、感謝致します。
でも、もうこういうのは買わないで!←”でもでも”しつこい(笑)
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