タイルの床に撒かれた水に、リフレクションで映し出される小さく切り取られた空。
そこを通過する小さな飛行機。
冒頭のシーンだけでこの映画好き、と確信した。
小さく切り取られた空のように、切り取られたある日常が淡々とすすんでいく。
モノクロームの映画って、制約を受けているみたいてどことなく窮屈さを覚える。
温度も湿度も質感もカラーレスだといまいち伝わってきにくい。
遠い遠い過去の事なのか、それともいい夢とわるい夢を交互に見ているのか、不思議な感覚だった。
ラスト、どこからともなく聞こえてくる生活音が心地良くて、いい事もわるい事もひっくるめて、そこにあった日常はかけがえのない美しいものなんだよと言われているような気がした。