こんなに引き込まれるとは思いもしなかった。
1人の召使いの女性の日常を描いただけ。しかもモノクロ。
派手な演出もないし、ただ淡々と物語は進んでいく。
なのになぜか飽きることなく最後まで観れてしまった。
きっとそれは主演女優の演技だったり、知らず知らずのうちに計算され尽くされた画に魅了されていたからかもしれない。
主人公クレオはあまり感情を表に出すタイプではないけど、彼女の人の良さや優しさは一つ一つの動作から手に取るようにわかる。
雇用主の母親も夫とうまくいっていないからか、クレオの望まない妊娠を優しく受け止める。その姿に意外性と共に愛を感じた。
フリチン侍も父親もこの作品に出てくる男性からは愛を感じられない。地獄に堕ちろの域。
終盤の海での緊迫したシーン。
これ以上この家族に不幸なことは起きないで!と祈る気持ちで観てしまった。
そしてメインビジュアルの海岸で家族が抱き合うシーンで、クレオの胸に秘めていた心の声が思わず溢れる。愛にも色んな形がある。
ものすごく感動した。
それにしてもクレオ、犬のうんこ片付けるのサボりがち。