洗剤混じりの水たまりに写る飛行機。
フェルミンに逃げられた映画館で心許なさそうな表情を見せるクレオと滑稽なオモチャ売り。
華々しい結婚式を横目に荒んだ気持ちのままアイスクリームを食べる家族の姿(そして巨大なカニのオブジェ!)
洗濯物からしたたる水滴。
などなど、この作品をつくりあげるシーンすべてが本当に印象的で、その美しさに目が離せなくなった。
「映像美」とよく評されるけど、「描写美」という言葉もよく似合うような気がする。
特に、海でのシーンの美しさ、崇高さ。
いびつな形ながら前を向く家族の力強さを夕陽が照らし出すという歓喜にも温もりにも救いにも満ちたような描写は、数ある映画の中でも有数の名シーンだと思った。