ろーたす

ROMA/ローマのろーたすのレビュー・感想・評価

ROMA/ローマ(2018年製作の映画)
4.7
女性は強い。母親はもっと強い。
モノクロで真に魅せたい画を抽出した映像美、
無音という最強のBGM、
女性陣の感情を裸で表現させる残酷なストーリー。
全部の要素がこの作品の味方をしてた。

「これもまた冒険、みんなで支え合いましょう」
父親がいなくなり、悲しみ泣く子供たちを励ます。
でも、1番ボロボロなのも、1番泣いたのも彼女だったんだ。母親の強さを心で感じた。
そして、家政婦の彼女を包んだ愛。
男なんて生き物が分からなくなり、身篭った赤ん坊に後悔さえ感じていた。そんな自分が嫌いだった。
でも、あの海辺で、彼女を抱きしめて愛してると言ったこの家族の愛だけは本物だった。
波の中、子供たちを助けに進んだ彼女の愛も本物だった。

最初と最後の飛行機の見せ方。
(上から下or横移動)廊下をつたい排水溝へ流れ落ちる水から反射して見える冒頭の飛行機。
(下から上へのパン)階段を登るクリオを追う様にして向かった先に飛んでいる飛行機。風景描写への心理状態や展開の反映が素敵。
そして、静かにもあれほど恐ろしく、それでいて美しくも感じた波。モノクロで、自然音のみだから為せた表現だと思います。

また、キリスト宗教的な連想に繋がる構図でも作品を支えている事にも驚き。これは観賞後にレビューサイトを見て知りましたが、自身の思い出を当時そのままに再現し、当時以上に鮮やかに描く監督のこだわりや作品の作り込みにただただ感動しました。
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