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HOT SUMMER NIGHTS ホット・サマー・ナイツのsomaddesignのレビュー・感想・評価

3.0
急にお前誰やねん!

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1991年、最愛の父を亡くしたショックから立ち直ることができないダニエルは、夏を叔母の家で過ごすため、美しい海辺の小さな町ケープコッドにやって来る。周囲の人たちとなじむことができないダニエルは、複雑な家庭の事情を抱え、地元ではワルで有名なハンター・ストロベリーとつるむようになる。町で1番の美女と称される妹のマッケイラを守ることには命をかけていたハンターからの「妹には近寄るな」との言葉に怯えながらも、ダニエルはマッケイラと秘密のデートを重ねていく。マッケイラと過ごすひとときはダニエルが自分を解放できるかけがえのない時間だった。

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近年一番勢いのあるスタジオ・A24。
設立からわずか7年足らずで「ルーム」「ムーンライト」「エクス・マキナ」といったアカデミー賞受賞作・ヒット作を多数輩出する一方、「ロブスター」「ア・ゴースト・ストーリー」といった小さな秀作まで幅広い。一貫して既存の映画ジャンルに捉われない、薄味で余白の多い、観客の想像に委ねるような意欲作を積極的に作ってる印象。

スタジオ自体あらゆるインタビューに応えていなくて、日本のポパイが『英語記事を絶対に出さないなら』を条件に、エントランスと応接スペースでの取材を許された稀有な例だとか。着眼点のすごさと、埋れてる才能に光をあてる映画審美眼の確かさに舌を巻く。(あんまり褒めると賢しらなシネフィルぶった奴ぽいし、貶すと褒め期を過ぎて貶し期に入ってる映画バカぽくて、どうにも感想を書きにくい)

映画小ネタが多くて面白かった!
ティモシー・シャラメがハチマキ姿で瞑想してる。「ベスト・キッド」のダニエル繋がりギャグ。お父さんがいないのも一緒。
「ターミネーター2」って1991年公開かー。もう30年近く前じゃんか!ドライブイン・シアターでかかってる映画が「シティー・スリッカーズ」とか「裸の銃を持つ男21/2」でイチイチ懐かしい。どっちもスラップスティック・コメディだけど、後味真逆で楽しい映画よね。
名画の時間帯でかかるのが「スティング」って落差😆

ティモシー・シャラメは何度目かの隠キャ。徐々に自信をつけて、魅惑的っちゅーのか蠱惑的な悪い魅力に溢れるキャラに変貌してく様が素敵。美少年尊い。
マッケイラ演じたマイカ・モンロー。大人びた美少女っていうか、普通に大人。躊躇なく人の顔の中央を殴れそう、気の強い顔が印象的。
ハンター演じるアレックス・ロウ。町一番のワルかと思いきや、なんだかんだ一番ダニエルに振り回されてしまうし、妹思いで残忍になりきれない優しさとトボケっぷりがジャイアンに見えてきて愛おしい。

ある種『信用のできない語り手』モノでもあって、最終盤で真の主人公が見える仕掛けなんだろうけど、その存在があまりに唐突すぎて「急にお前誰やねん!」て最後でズッコケて楽しい。

注目度の高い気鋭のスタジオが、若い魅力的なキャストを集結させて作った割には凡庸なストーリー。
どこまでいっても「いつか何処かで見たシーン・展開」が延々と続いて、オッサンには安直な焼き直しに見えちゃった。もっと冒険的な展開や意外な結末があるかと期待しちゃったのかも。



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