風来坊

オペレーション:レッド・シーの風来坊のレビュー・感想・評価

4.0
関連作の「オペレーション・メコン」は実話を元に脚色して良い緊張感を持ったアクション大作でした。前作にも中国万歳的なプロパガンダ的な側面はありましたが、全体的なバランスが良くてあまり気になりませんでした。

しかし、本作は中東における中国の立場などを表明する側面もあるのか、中国万歳や人民解放軍万歳の中国的な思想が強くプロパガンダ臭がキツいです。逆を言えばプロパガンダ映画としては良く出来ています。

イエメン内戦の最中に起きた中国人と外国人の避難作戦の実話を元にした映画。「オペレーション・メコン」同様にリアルさだけでなく、あり得ないド派手なアクションシーンを入れ、エンターテイメント性も溢れます。ストーリーはかなり都合良く脚色している印象。

中国映画にしては珍しく実在国(イエメン)に配慮したのでしょうが、かの国の名前をイウェア共和国なる仮想国にしたのはリアリティーを無くしている。中国がそんな配慮するんだと逆に驚き。劇中に出て来る「強者は無敵」という台詞はいかにも中国らしいなと思いました。

女性記者役の女優さんがちょっと華がない…。演じるキャラクターも空気読めない人でイライラさせる。女性が少ない映画で隊員役の女優さんも凄味はあるが華はない…。リアリティーを重視したミリタリー物なので、それは仕方ないのかも知れませんが…。

主演の俳優さんはイケメンとは違いますが、目力があって貫禄がありますね。その反面、他のメインの俳優さんたちはキャラが薄いせいもあってイマイチ印象に欠けます。脇役のチャン・ハンユーさんかサイモン・ヤムさんをお目付け役としてメインキャストに組み込んで欲しかった。

中国共産党や人民解放軍のバックアップがあるのか、本物軍事車両などを使用したアクションシーンは迫力満点。銃火器類もスゴくリアルです。
圧倒的な火力で表現する爆発シーン、戦闘シーンはド派手でド迫力!CGは粗い部分もありますが作風には合っています。

人肉飛び散りなどエグいグロ描写があるので、苦手な方は注意が必要。
爆弾解体など次々に極限状態の危機が襲い緊迫感は凄まじい。しかし、アクションに重点を置くあまりドラマ性は少し薄い。

スナイパー同士の対決あり、カーチェイスあり、戦車ありと盛り沢山の内容ですが、やはり尺がちょっと長く感じました…。クライマックスが2回ある感じは流石に疲れる。面白いのですが、胸熱展開は少なめで「オペレーション・メコン」よりは劣りますね。

中国に都合の良い感じと中国海軍の宣伝のような感じは気になる所ですが、クライマックスの死闘は手に汗握り必見ですし、中国版ネイビーシールズのような感じで、ミリタリー映画としてスゴく楽しめた作品でした。
風来坊

風来坊