三谷幸喜作品のベストをひとつあげろといわれたら、自分はデビュー作の「ラヂオの時間」を選びます。正直、それ以降の作品は世間の厳しい意見と同じで、映画としては…なんですが、それでも新作が公開されると必ず観にいってます。なんか、あきらめきれないんですよ。
三谷幸喜作品に期待するのは「エレガントな笑い」を「大衆」にとどけようとしてること。「わかる人だけにわかればいい」というつくりでもなく、「大衆なんてこんなもんだろ」というあきらめでもない。三谷作品って世の中の多くの人に向けて、「こんな素敵なことがある！」と囁いてくれる映画だと思うのです。まあ、映画としてうまくいってるかどうかは別ですけどね。
いつか、このふたつがかみあって、映画史に残るような作品が誕生するんじゃないかか期待してるんですが、なかなかバットにボールが当たらないです。
今作ですが、ツボをわかった笑いは流石の出来映え。中井貴一、佐藤浩市の名演は素晴らしい。ただ、各所にいいところがあるものの、ストーリーとして観客を夢中にさせてくれるようなドライブ感に薄く、映画としてのまとまりはイマイチ。面白い作品だとは思うのですが。
映画の宣伝コピーは「三谷幸喜最高傑作！」とうたってますが、自分としては「三谷幸喜監督最高傑作いまだ誕生せず」です。でも、次回作が公開されたらみにいきますよ！期待してます。
