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記憶にございません!のdaiyuukiのレビュー・感想・評価

記憶にございません!(2019年製作の映画)
4.6
病院のベッドで目が覚めた黒田啓介(中井貴一)。自分が誰だか、ここがどこだか分からない。こっそり病院を抜け出し、テレビのニュースを見る。
演説中に投石を受け、病院に運ばれている首相、それが自分だった。
しかも石を投げつけられるほど、すさまじく国民に嫌われているようだ。
部下らしき男が迎えにきて、官邸に連れて行かれる。「あなたは、第百二十七代内閣総理大臣。国民からは、史上最悪のダメ総理と呼ばれています。総理の記憶喪失は、トップシークレット、我々だけの秘密です」真実を知るのは、井坂(ディーン・フジオカ)ら秘書官3名のみ。
進めようとしていた政策はもちろん、大臣の顔と名前、国会議事堂の本会議場の場所、自分の息子の名前すら思い出すことのできない総理。
そんななか、記憶にない件でタブロイド紙のフリーライター・古郡(佐藤浩市)にゆすられ、記憶にない愛人にホテルで迫られる。
妻・聡子(石田ゆり子)も不倫をしているようだし、息子の篤彦(濱田龍臣)は非行に走っている気配。
そしてよりによってこの時期に、アメリカ大統領スーザン・セントジェームス・ナリカワ(木村佳乃)が来日。
他国首脳や政界のライバル、官邸スタッフ、マスコミ、家族、国民を巻き込みながら、黒田は捨て身で自らの夢と理想を取り戻そうとするのだが……。
女性蔑視、優柔不断、公約を守らない、偉そうで国民に対して上から目線という安倍首相と麻生財務大臣を足して2倍したような黒田首相が、反対派からの投石で記憶をなくしたことで傲慢な部分が抜けて、自分に投石した男性から今の政治に対する不満を聞き、小学生の頃の社会科の教師から政治について教わり、妻の聡子や息子の篤彦との不仲を修復しようとしたり、ゼネコンとの癒着した開発計画を中止するなど、官邸の実権を握ろうとする鶴丸官房長官(草刈正雄)などの政敵と戦いながら、自分が理想とする政治の実験のために奮闘していくストーリーを通して、政治とは1人1人に向き合うことが大事だという三谷幸喜のメッセージが伝わってくる熱いメッセージ性があり、クセの強いキャラクターのふとしたおかしさにクスりとさせられる三谷幸喜監督初期のコミカルなテンポの良い掛け合いやユーモアがクセになる政治コメディの傑作。
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