柊

ラストレターの柊のレビュー・感想・評価

ラストレター(2020年製作の映画)
3.4
岩井俊二作品はとにかく長い。そしてその長さの中で集中できる部分と流したくなる部分が交差しながら物語が進んでいく。そんなイメージが私にはある。
そして何よりもピュアな少女を撮るのが大好き。

今回も現在の広瀬すずと森七菜のシーンは瑞々しい。なかなかこういう感覚誰でも撮れるものではない。でも若干広瀬すずが出ると是枝臭が漂ってくる。そして「花とアリス」同様無名の方が圧倒的に印象に残る。手付かずの新人を撮ることに長けた監督だ。

初恋は誰の中でもちょっと都合よく記憶に残りがち。あの時こうだったら?人生は変わっていたかもしれないと言う勝手な想像をしてしまいがち。でもそれはやっぱり幻想。幻想は決して現実ではない。その幻想に惑わされたり囚われたりして人生を彷徨う大人は意外に多いのかもしれないなぁ。
良くも悪くもその現実感をかつての「Love Letter」コンビのトヨエツとミポリン(笑)がリアルに演じる。これはちょっと贅沢な配役だけど、くたびれ感がすごいからありがたみに欠ける。

映画って途中どんなでも最後はどうにか収まるのに、この作品最後に美咲の遺言の手紙読むところで、危うく寝落ちしそうになった。私の中では、もちろん美咲の遺言は気になったけど、早朝の図書館でゆうりと乙坂の握手で完結してしまった。

あと廃校になる校舎が階段シーンだけ、妙に乙女な建築でそこだけロケ地違うんだろうって思った。何か美しく撮りたいが故のロケ地のようで、違和感ありあり。もっと普通でいいのに。仙台の上空を何度もドローン駆使してたけど、そんなに必要かな?

庵野さんは上手じゃないけど、あれでいいの。庵野さんと松たか子の住む家の外観が好き。玄関までのアプローチなんてとっても素敵だ。内部はそうでもないけど。
柊