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ラストレターのKKMXのレビュー・感想・評価

ラストレター(2020年製作の映画)
3.2
観応えはあったものの、まったくもって好みではなかったです。物語の良さは解るが退屈でした。

20世紀の頃によく岩井俊二映画を観ていたけれど、『毛ぼうし』以外覚えていないってことは、ズバリ俺とイワシュンの相性が良くないってことなんですよね。本作を鑑賞して、その事実を改めて思い知りました。ま〜いい勉強になりました。


本作は、過去に囚われている実質的な主人公・乙坂氏が、冷凍保存されていた過去と対峙して、行き詰まった現状をブレイクし、一歩前に進んでいく話だと感じました。すごく真っ当で、本質的な物語だとは思うのですが、とにかく語り口が甘いです。純粋さが心のふるえを取り戻す大切な要素だとは思いますが、てらいなく前面に出てくるので、俺にはかったるかったです。

ピュアさへの憧れを持つ人にとっては、イワシュンってフィットするような気がします。俺はピュアに無関心なので、本作も何というか中性刺激的で、引っかかるものがなかった。左脳では理解できるが、右脳ではなんも感じない、みたいな鑑賞体験でした。イチャモンつけることもないため、感情的には無の状態がずっと続きました。

広瀬すずとか、女子高生をすごくキラキラと撮っておりまして、感じるものはゼロながらも気合入れて撮ってるな〜と感じました。職場の同僚で元映画研究会だったFくんが、「岩井俊二ってロリコンですよね〜」と言っていたことを思い出しました。ロリコンかどうかはわからないですが、とにかくJKを神聖視しているような印象を受けました。穢れなき存在の象徴みたいな。あの2人、ワンピのスカートバタバタさせながら「あっちぃ〜、今日はちょうあっちぃわ〜」みたいなことしないですからね。なので、美少女好き・ピュアフェチにとってはどストライクな気がします。
しかし、広瀬すずの髪型はいつ見てもキノコみたいだなぁと感じます。回想シーンではロングだったのですが、圧倒的にロングの方が似合ってました。

あと、直観的に本作好きな人は『幸福なラザロ』が好きなのではないか、と感じています。乱暴な括りですが、純粋崇拝的な特徴が共通しているように思えたからです。

演者について。月光騎士団の鈴木慶一が『毛ぼうし』の頃からあまり変わっていない!昔から老けていただけだと思いますが、今すぐにでも『ニットキャップマン』歌いだしそうな雰囲気にシビれました。


イワシュン作品のフェイバリットは『毛ぼうし』ということに相成りました。やはり裕也とか言ってる野郎にイワシュンはフィットしないね!
本作、水のないプールですずともう1人のJKが花火をやってましたが、クロロホルムを手にした、黒ずくめの坊主頭の男が足りないと思いましたぜ!シェケナ!


【追記】
本作は高校時代をノスタルジックに輝かしいものとして描くんですよ。暗黒の10代を過ごした俺にとっては、とにかく共感が難しいのです。「無限の未来が広がっている」とか、今より10代のころの方が未来に希望を持てなかったので、理屈上理解できるが実感は得られず。しかもキラキラ感をイメージできないので、特に憧れも嫉妬もなく単に退屈でした。
シングストリートのようなバンド話ならば高揚感とかを感じ取れるのですが、今回はそういうのもないのでホント難しかったです。振り返ると、結構複雑な構造の話で、乙坂氏の変容を丁寧に辿れば本作も楽しめそうですが、雰囲気が合わないので、生理的にダメなんでしょうね。
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