ninni

ラストレターのninniのネタバレレビュー・内容・結末

ラストレター(2020年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます



どこからだろう。
はじめはこの世界観や淡さについていけないし、関係性とかも整理整頓する時間が自分の中にあって(理解力のなさ)、それが作品に没頭するのに邪魔をする。
岩井俊二監督の世界観に慣れていないのもあるんだろう。
どうしても公開されているのに間に合わず家で見たりする時にものすごく集中せざるを得ないではなく〝しなきゃいけない〟感じがあってそれが辛くて観るのをやめていた。

今回、ラストレターを見てよくわかった。
映画館で見れてほんっとうによかった。
映画館でしか見れない。なにも邪魔するものがない、この感覚は映画館でしか無理だった。


どこからだろう。
どこからか慣れとか、そういうの関係なく、彼らがどうなってしまうのかを見てしまうんだ。
今はもういない初恋の人の面影をずっと追う彼の思いで生きていける、迎えに来てくれるかもしれないって思ってたら生きていける、って、そう、誰かが誰かを思うってこれだけ、こんっだけ尊くて、大事なことなんだって。

手紙を書いたり、その手紙を読んだりする描写がたくさん出てくる。
その度にその人の字とか便箋とか手紙の広げ方とかに人柄が出る。
それがまた愛おしい。手紙を書いていた頃はそんなこと自然だったのにな。
手作りの写真アルバムとかも素敵だったな。

何度も祖母の家に帰りたくなった。
都市から離れて自然の中に居たくなった。
その中で誰かのことを思っていれたら。

言葉だけでつなぐ記憶。
とても説明的になってしまう物語もあるけれど、今回はそういう場面たくさんあったけど、全然、そんなことなかったな。
余白に思えて自然と想像してしまった。

死んでしまった美咲が幸せそうに笑ってる姿とかね。

それは絶対に俳優が良かったから。
とくに松たか子さん。さいこーだね。

あと、とにかく、とにかく
広瀬すずさんと森七菜さん、ふたりが生きている姿がほんっとうによかったです。
ひたすらに。


たとえ今は一緒にいれなくても、
どうしているか分からなくても、
それにとらわれているかもしれないけど、
それでも誰かを思っていることは何にも変えがたい生きる理由になる。
生きる理由って大袈裟かな。でも、本当に。先に進むことを選ばないんじゃない、思い続けることを選べた人に対してもっと届いて欲しいです。
私もそうだから
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