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ラストレターのjozeのレビュー・感想・評価

ラストレター(2020年製作の映画)
4.3
はぁ、良い。はぁ、語りたい。
自身の備忘録だし、まぁいいか。

後にも先にも映画館に3回も通ったのは、スワロウテイルだけ。ポップコーン買って、サントラ買って、パンフレットにニアニアして、王道の映画鑑賞。スクリーンから溢れ出る熱量に圧倒され、未知の世界、人、物、音、に田舎少年の心は踊り狂い、何度見ても新鮮さは失われなかった。家路に着くまでのチャリンコ、冷めない余韻、自分が無敵になったような錯覚と共にペダルを漕ぐ足が、いつもより何倍も軽く感じた。そんな頃にタイムスリップできるのならば、直感を信じた田舎少年と熱い抱擁でも交わしたい。あれから何年も経ったけど、まだまだ岩井俊二の映画はすごいよ、見つけてくれてありがとうと伝えたい。ドラ○もーんタイムマシーン出してよぅ。

本編感想
ムダを極限まで省いた現代の高速SNS社会を皮肉るように、映画の根幹にあるのは不便でスピード感に欠ける手紙。相手への尊敬や温もりがじんわりと染み込んだ紙たちは、LINEのソレとは比べものにならない。男一人と二人姉妹、初々しい三角関係や甘酸っぱいイタズラは、不便なやり取りだからこそ生まれたドラマ。手紙はやっぱりいいなぁ。亡き女性の面影を追うストーリー、広瀬すず、森七菜が自身の親を一人二役で演じていても、全く違和感を感じなかった。少女たちの何気ない表情やしぐさ、一瞬一瞬が儚く美しい。スワロウテイルの伊藤歩、リリイシュシュの蒼井優、飾らない普遍的な女の子を撮らせたら岩井俊二にかなう人はいるのだろうか。唯一無二。

エンドロールで森七菜が歌う"カエルノウタ"にすぐさま身体が反応。鳥肌が立った。小林武史病とでも言うべきか、今でもCharaやSalyuを聴くと身体が反応してしまう。匂いや音楽は記憶との結びつきが強いとよく聞くけれど、あれ本当。鈍った五感がほどよく揺らされた気分。

見てよかった。
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