とかく、ウィレム・デフォーの名演と映像美が素晴らしい。
ゴッホの孤独と苦悩、そして悦びが演技を通じ、映像を通じ、画面全体を通して伝わってくる。
ゴッホの心象風景にフォーカスしたカメラワークが印象的で、興味深かった。一方、ゴッホ自身の視点を描いた手持ちカメラの映像に酔いそうになる場面も。それもまた狙いの一つなのかもしれないが。
基本的にはゴッホの晩年を彼の視点から淡々と描いているのみなので、ドラマ的な演出はほとんどない。
ただ、その分この作品のテーマとも言える、芸術とキリスト教的な宗教観を絡めたセリフの数々は印象に残る。
総じて良作。
