Shin

永遠の門 ゴッホの見た未来のShinのレビュー・感想・評価

3.8
試写会で拝見しました。
ありがとうございました。

やはりウィレム・デフォーがアカデミー賞で主演男優賞にノミネートされていたので気になってました。

物語は1886年ゴッホが33歳、弟で画商のテオを頼りパリに移って、画廊などで作品を展示しているあたりから始まります。
日常的な風景を直感的に表現する手法(印象派)は当初は評価されず、ゴッホの絵も全く売れないのでした・・

デフォー演じるフィンセントが、風光明媚なアルル地方で、純粋にひたむきに自然と同調する崇高な姿には心を打たれます。
劇中でフィンセントが語る印象的な台詞があるのですが。
伊藤若冲が残した「自分の価値がわかる人を千年待つ」という言葉と同じように、芸術家の神髄を見ることができました。

ただゴッホの生涯を描いているので、基本的には暗いです。

気になったこともいくつかありました。
撮影方法が監督の意図として、ゴッホの視点になるということで、手持ちカメラが使われ、結構揺れるところもあったんです。
また遠近両用メガネのように、レンズの上下半分のピントをずらし、映像をぼやかしているカットもありました。
果たしてこれが有効だったかは疑問が残ります。

そして問題のラストですが。
史実も謎に包まれている為、作者の解釈によって変わってきますが。本作の場合は唐突すぎて、何のことやら。ちょっと唖然としてしまいました。(笑)

比べるものではありませんが。原田マハの小説「たゆたえども沈まず」の方が、弟テオのその後の人生と相まって、説得力があったんですよね。

という訳で、デフォーのファンは楽しめる映画なのではないでしょうか。
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