湯呑

ゾンビランド:ダブルタップの湯呑のレビュー・感想・評価

3.8
本作を鑑賞するにあたり、予習がてら前作のDVDをレンタルしたのだが…死ぬほどつまらないのでびっくりした。10年ぶりに続編が作られるぐらいだから、前作はそれなりの評価を得て、ヒットもしたのだろうが…とにかくテンポが悪くて、ギャグも上滑り気味だし、何というか、面白くない奴が面白くもない冗談を言って、それを皆が大笑いしているのを眺めている様な、苦々しい気持ちになってしまった。この感覚、以前も味わった記憶があるな…と考えてみると、劇中で大々的にフィーチャーされている『ゴーストバスターズ』第1作目の時以来である。観ている間ずっと、何かに似ているな、と思っていたのだが、要するにこの映画は私の嫌いな、アイヴァン・ライトマンの作品にそっくりなのである。
アイヴァン・ライトマン作品の何が嫌かって、とにかく全体に漂う、毒にも薬にもならない生温さが我慢ならないのだ。なるほど、『ゾンビランド』は、確かに血がドバドバ、内臓グチャグチャのゴアシーンが盛りだくさんかもしれない。しかし、問題はこうしたジャンルムービーに対する作り手のなめきった態度が、作品から透けて見える事なのだ。ただ表面上の過激さを装う為に先人達が築いた遺産を利用してんじゃねえよ。そういう意味ではアイヴァン・ライトマンの『エボリューション』に感じた不愉快さに通ずるものがある。
とはいえ、せっかくレンタルまでして予習したんだから、一応観に行くか…と、全く期待せずに映画館へ出かけたのだが、あにはからんや、今回の続編はなかなか面白かった。監督のルーベン・フライシャーも『ヴェノム』の様なビッグ・バジェットの監督経験を得て成長したのだろうか、テンポも良くなり、映画としての面白みがグッと増した。特に、主人公の男2人が自分と瓜二つのゾンビにモーテルで追い掛け回されるシーンをワンカットで追う場面など、なかなか良く出来ている。
ギャグ面では何といってもゾーイ・ドウィッチ演じる新キャラクター、マディソンの存在が大きい。この狂気すら感じるおバカキャラクターがボケ役の大半を担ってくれているので、ストーリー展開がスムーズになった。前作は、そもそも主人公たちに大した目的が無い上、お寒いギャグで話の流れを止めてしまうので本当にイライラしたが…
前作の32のルールもそうだったが、冒頭で紹介されるゾンビの分類がほとんどストーリー上で活かされていなかったり、相変わらず大味な脚本ではあるのだが、最後のオマケも含めてファンサービスたっぷりのお気楽エンターテインメントに仕上がっている。頭を空っぽにしてご覧頂きたい。
湯呑

湯呑