ShoIkoma

ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語のShoIkomaのレビュー・感想・評価

3.7
敢えて時系列や作中作との境界を曖昧にした作品構造が、切なさを想起させる。少女時代とその後。故郷と都会。愛と野望。得たと思ったら逃げていき、捨てたと思ったら立ち現れてくるそれらに立ち向かう姿に心が揺れる。

4姉妹それぞれの生き方が描かれるが、視点は原作者が自身を投影した次女ジョー。彼女の目から紡がれる物語では、周囲がどんどん“自分”を固めていく(その苦しみを飲み込みながらも)中で孤立していくように感じさせられた。それが僕にはたまらなく不安だった。ローリーへの手紙をポストに入れ、その後捨てるシーンは見ていて苦しかった。

だからこそ彼女が“自分の物語”のラストで著作権と印税を勝ち取るシーンはハッとさせられた。これは原作者とこの映画の監督ガーヴィク氏からの強烈なメッセージだ。この強さこそがジョーであり、女性表現者なのだと。
ShoIkoma

ShoIkoma