柏エシディシ

ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語の柏エシディシのレビュー・感想・評価

4.0
世界中で最も有名で愛されてきた四姉妹の物語謂わば古典の魅力をそのままに、現代的なアップデートを施すというアクロバティックなグレタの若草物語。
見事な着地!(拍手!)

従来、若草物語が持っていた先進性(女性観や宗教観、社会批評性)と、「レディバードpart2」とも言って良い程にグレタの作家性とが見事に融合している。
オスカーに輝いた衣装をはじめコスチューム劇としての面白さも担保しつつ、作劇や演出のテンポも現代的で、キャスト陣も伸び伸び演じているのが判る。
グレタ・ガーウィグ。
新世代の名匠の貫禄十分でしょう。

ルイーザ・メイ・オルコットの分身であり、グレタの分身でもある、ジョーを快活に演じるシアーシャ・ローナンのもはや説明不要の演技力をはじめ、相性抜群のティモシー・シャラメなど、キャスト陣のパフォーマンスは総じて素晴らしい。
なかでも、今一番旬な女優フローレンス・ピューのエイミーはひときわ輝いている。
ともすれば、嫌われ者に陥りがちなエイミーという女性を魅力的なひとりの人物として刷新する事に成功している。
やはりすごい才能だ。

活版印刷される書籍と子供たちへの教育が並列に描かれる終幕は、「映画」という芸術の役割とそれに携わる者の責務と矜持を改めて感じられ、今時分に観るとより心に響いてきた。
100年以上前に書かれた物語が、今でも卓越した物語として響いてくる。
物語は、映画はこれからも生き続けるのだと、胸が熱くなった。
柏エシディシ

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