子どものころから大好きで繰り返し読ん
きた『若草物語』。何度も映画化されているそうだ。私も、キャサリン・ヘップバーンがジョーを演じたものを観たことがある。そんなよく知られた名作を、現在人気のある俳優たちによる美しい映像で観ることが出来て嬉しい。
原作に忠実でありながら、時間軸を行き来するなど新鮮な構成だ。よく知っている話であるのに、改めていろいろ考えさせられる。
たとえば原作を読んでいる時は主人公であるジョーの独立心の強さにばかり目がいっていたが、この映画を通して、形は違えど、4姉妹はそれぞれ自分の生き方を真剣に模索して、自ら選択していることに気づかされる。早逝する三女のベスでさえも、自身の命の限界と向き合い、受け入れる姿が凛々しく思えた。
南北戦争という時代背景には、かの戦争から長い年月を経ても人種差別がなお蔓延る現状を思わされ、嘆息してしまう。マーチ氏が牧師であり、従軍牧師として戦地に赴任しているという状況も複雑な気持ちになった。従軍牧師は、激しい戦闘が繰り広げられる地で、兵士たちにいったい何を語るのだろうか。
原作ではジョーがベア教授に惹かれていく過程が丁寧に描かれていたが、この映画ではわかりにくいように思う。もっとこの二人でときめきたかった。
少女たちが精神的に自立した女性(women)へと成長していく過程を鮮やかに描いた秀作であり、全体としては非常に満足だ。大きなスクリーンで堪能できる幸せをしみじみ感じた。
それにしても、今さらかもしれないが、ティモシー・シャラメ、美しい!ウディ・アレン監督の新作も楽しみ♪