ボギーパパ

ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語のボギーパパのレビュー・感想・評価

4.5
今年最高作、いや人生でもかなりベスト級の作品。あとでゆっくり噛みしめながら備忘録書きます。

本作は、言わずと知れたオルコットの自伝的小説『若草物語』が生まれた経緯を次女ジョー=作者の視点から、時を行きつ戻りつ綴ったもの。以前撮られた若草物語は若草物語の映画化であったので構成自体が全くの別物として位置付けられる。

本作の支柱となっているのは
「女性の自立と経済」
結婚=女の幸せ、さもなくば死 が求められるという出版社社長の見解や、メリル・ストリープ演じる叔母さんの金持ちと結婚しなさい発言が証左。経済って言葉が随所に出てくるし。
未だこの問題は世界の至る所に蔓延っているが、息苦しいにも程がある時代。

この時代、今から150年程前のアメリカ。
7年前の描写=少女時代は家族の貧しいながらも、温かみのある色調で、
7年後の描写はうまくいかないこと、不幸なことが起こり、その色調を寒色系での表現。

時間の行き来を色調にて区分する手法は見事。最初は面食らったけど慣れれば寧ろスピード感が出て、スッと頭を切り替えられる。
この、時の切り替えはベスの死を表現したシーンも対照的な色彩で、歓喜と絶望をなんとも言えない形で表現しているところが素晴らしい。

清貧のピューリタン。父は南北戦争の従軍牧師で出征中。4姉妹は時には、いがみ合いも、喧嘩もありつつもその母を要にお互いを認め合い、愛し合い暮らしているその姿。父からの手紙のシーンで、もう号泣!ピアノの件でまた号泣!隣人愛も抑制の効いた演出が涙を誘う。精神の高貴さ、気高さってこういうことなのか。

そして美しすぎる映像美。流石のアカデミー衣装デザイン賞!

また本作はキャストの妙がなんと言っても最高!
ローラ・ダーン、シアーシャ・ローワン、エマ・ワトソン、エリザ・スカンレンそしてフローレンス・ピュー。皆輝いていた。
(フローレンス・ピューはどうしてもミッドサマーに引き摺られてしまうが・・・w)

ラストの本の製作の件も美しい!本は愛情込めて作られているのだと再認識。手際がまた美しい!

これは再鑑賞必至の人生ベスト級作品。ちょっと迷っていたのだけれど観て良かった!
ボギーパパ

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