のん

ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語ののんのレビュー・感想・評価

4.5
古典を大胆に再構築した圧巻の傑作


かつての名作たちに現代的要素をくっつけて映画を作る手法は近年のディズニー映画でやたらと多用されている。


そうした試みや作品の完成度の是非はさておき、『アラジン』も『美女と野獣』も付加された要素があまりに添え物としてしか機能していないのが気になっていた。
特に本作を観た後ではいかに表層的にしかそうした要素を取り込んでいないかを強く感じた。



古典文学の名作中の名作「若草物語」を、グレタ・ガーウィグ監督は、その骨格を維持しつつ、全く新しい物語へと作り変えてしまった。


現代と過去を巧みに交差させながら、ジョー、メグ、エイミー、ベスの四姉妹に現代人へのメッセージを託している。


赤を基調した淡い色の過去パートに対して、現代パートは白とくっきりした色味で映像でのメリハリをつけているのも面白い。


キャスティングもまた絶妙で、シアーシャ・ローナン、エマ・ワトソン、フローレンス・ピュー、ローラ・ダーン、メリル・ストリープと各年代を代表し、かつ現代の映画界における象徴的な存在である彼女たちをこの作品に抜擢したことは、監督の明確な意図を感じる。


4姉妹の日常をコミカルに描くパートは是枝監督の『海街diary』のようでもあり、ずっと見ていたいと思わせてくれる圧倒的な傑作。
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