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ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語のめるのレビュー・感想・評価

3.7
あの『若草物語』を現代風にアレンジ!

と言っても、舞台も時代もそのままストーリー構成だけでここまで現代人に刺さるメッセージを浮き彫りにできるのがすごい。
原作を読んでいないから原作から受け取るメッセージは知らないのだけど、世界名作劇場の『愛の若草物語』とはまた一味違うメッセージを感じました。

それは女性の自立・社会進出。
「女性は結婚することが最大の幸せで仕事は持たずに家庭にいればいい」というなかなか抜けきらないステレオタイプな考え方を砕きたいという想いが伝わってきた。

それでいて、しっかりとジョーの「成長物語」が感じられたのが良かった。最初は小説を批評されて怒っていて幼さがあったけど、最後は立派な大人になっていた。

四姉妹一人一人の配役は良かったけど並んでみるとあんまり四姉妹に見えないかも。
でも、キャストの演技力が高い。ただ豪華俳優陣を並べただけでないのは確か。
シアーシャ・ローナンは大人しい役が似合うのイメージだったのに、四姉妹の中で彼女の演じるジョー役が一番しっくりきた。
逆にエイミーにはもうちょっと末っ子としての愛嬌がほしかった。(『ミッドサマー』の主人公だったのか。気づかなかった。)
ティモシー・シャラメは皆さんがおっしゃる通りハンサムでした。彼の魅力を知るにはもっと作品を観なきゃ。

名劇の若草物語と比べるとダイジェストぽさは感じる。それでも、名劇は原作の1巻と3巻をアニメにしていてその間の2巻はなかったから、2巻のベスの死やジョーが作家になる過程を見られたのは嬉しかった。

ただ1つ引っかかったのはこれだけ"結婚だけが幸せなのか?"と問い続けていながら、ジョーがローリーにもう一度求婚されたらOKすると心に決めていたところ。ちょっと説得力に欠けるように感じてしまった。
世間と自分の考えとの迷いだったのかな。

でも、回想を取り入れた構成にしっかり意味があり、この構成のおかけで現在のジョーが過去の自分たちの小説を書く後半の追い込みが光ってた。
ラストの場面はジョーの小説の中の出来事なのか実際の出来事なのかどっちだろう……
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