くま

ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語のくまのレビュー・感想・評価

5.0
「私が止める。前にも止めた」

自分史上、ドラマ洋画として指折りの傑作だった。少ない手札の中から最大限の幸福を見出だし、儚くも力強く生きる女性たちが輝いて見えた。

時代背景や心理描写が非常に繊細で、セリフでも丁寧に表現しつつも、演出・風景・画角などでも印象づける辺りから、監督のセンスが光る。
特にも「大人になった現在」と「7年前の少女時代」を対比的に描きつつ、感情の揺れ動きをシンプルかつ甘美に表現する、という構成が心に刺さる。

作品のテーマにあまり関係はないが、演出として当時の製本工程の美しさにも見とれた。手作業で印刷し、鞣した皮に糊付けし、糸を紡ぐ、という丁寧なプロセスを見つめるジョーを物語の終盤に描くなんてセンスの塊でしかない。(原作にもあるのかな?)

グレタ・ガーウィグ監督作品を漁ってみようと思う。手始めにレディバードをば。
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