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ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語の順のレビュー・感想・評価

4.1
リメイクされ続ける名作を丁寧に更新した、古典作品映画化の一到達点。
ボストンにパリにニューヨークに、19世紀アメリカ社会を通して見た越境のダイナミズムを優れた衣装や美術とともに描く。舞台の広さに対してストーリーは限られた登場人物によるきわめて私的な構成だけれど、作中の人間的成長や喜怒哀楽の機微は東洋の島国にまで共感を呼ぶ。
現在を撮れば冷たく、過去の物語は暖かいという色味のメリハリが明快で、時間軸の描き分けがラストまで見事だった。

ティモシー・シャラメの気品を目で追いながら、フローレンス・ピューの目力に飲まれる。
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