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ディリリとパリの時間旅行のYACCOのレビュー・感想・評価

ディリリとパリの時間旅行(2018年製作の映画)
4.0
仏アニメ界の巨匠ミッシェル・オスロ監督の映画を映画館で見るのは初めてで、せっかくの機会なのでと足を運ぶ。
公開日夜の上映は程よく席が埋まっており、上映館数は少ないなか足を運ぶ人たちの期待の高さがうかがえる。

この映画の舞台となる、ベル・エポックの時代のパリが、こんなに魅力的な街だったのかとまずは目と心を奪われる。
街に貼られているミュシャとロートレックの絵を発見し心が躍る。そして、話の流れとともに、ピカソ(彼のアトリエにある北斎の絵も嬉しい)、ルソー、モネ、ルノワール、ロートレック、ドガといった人たちが本人の絵とともに登場し、さらには、ドビュッシーも登場。サティにおいては演奏を聞かせてくれる!(笑)こんなにもベル・エポック時代のパリには自分が好きなものが詰まっていたのかと顔がニヤニヤしてしまう。
さらに言えば、キュリー夫人、パスツール、そして、のちのイギリス国王エドワード7世までもがこの地に集っているのだ。本当に素晴らしい時がそこにはあったのだなあと羨望を感じずにはいられない。

そんなパリを舞台にディリリの物語は進んでいく。
おしゃまでかわいいディリリが友人のオレルとともに少女誘拐事件の謎に挑むのだが、前述したような人たちと出会い助けられながら、美しいパリの街を舞台に話は進んでいく。それも三輪車やスワンを使い、地上から地下を走る下水道までを。(その下水道を走るスワンがまたステキアイテムなのだ)
当時のパリも例にもれず男性社会。そこで起きる少女誘拐事件。
ディリリを助ける人たちも当時各分野で活躍し今ではパイオニアと呼ばれる女性たち。そんな女性たちがとても美しく描かれているのも良い。

日本アニメとは一味も二味も異なるこの世界観に魅せられ、楽しむ時間だった。
最近たくさん作られている日本アニメも確かに良いけれど、こういった作品も多くの人に楽しんでほしいと思う。ちょっと敷居が高いかもしれないが、好きな人にはたまらない一作になっていると思うので、もしあなたが、ベル・エポックの時代のパリやあの世界観が好きな人ならばおススメしたい。
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