シュンゴ

恐怖の報酬 オリジナル完全版のシュンゴのレビュー・感想・評価

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油田で起きた火災を爆風で消火(!)するため、僅かな衝撃で爆発するニトロを積んだトラックで300kmの悪路を行く地獄のロードムービー

H.Gクルーゾーの原作と同じく、ニトロ運搬を開始するまでの登場人物の背景を描いたシーンが約半分の時間を占める
んで、そこが十二分に見応えあり

冒頭の殺し屋が扉を開けて入ってくるシーンから、現実との境界線を越えるという作品の意志もしくは佇まいのようなものをかんじます。

青痣をつけた花嫁や、飛行機から降りる盲目の少年、黒焦げた青目の死体…
エクソシストと同様、造形化された不穏がそこかしこにタペストリーのように織り込まれ、通奏するタンジェントドリームの音楽がふんづまった南米を異界へと変換。

台詞を削減し、儀式のような一つ一つの挙動をテンポ良く編集していく暗黒のリズム感が個人的にはフリードキンの肝。


・怪物化していくトラック◎
・吊り橋のシーンは天丼の構造が効いてる