カツマ

恐怖の報酬 オリジナル完全版のカツマのレビュー・感想・評価

3.9
これは正当化された自殺行為、命を乗せたサバイバル。爆弾を背負いながら密林のジャングルをひた走る、地獄の綱渡りだ。爆弾(ニトログリセリン)に少しでも衝撃を与えると、輸送車もろとも木っ端微塵。もちろん人間は秒で遺灰と化すであろう。一度は人生を捨てた男たちによる一発逆転、決死のロシアンルーレットの幕が上がる。

元々は1953年に公開されたフランス映画『恐怖の報酬』のリメイク。『フレンチ・コネクション』『エクソシスト』を撮り、勢いに乗っていたウィリアム・フリードキンは何を血迷ったか大金を投入して、こんなカルトな映画を撮ってしまったのだ。おかげで興業収入は大失敗、問題作として長きにわたり不遇の時を過ごした作品だったようだ。
だが、カルト映画は理解されるのに時間がかかるのは世の常。再評価の波に乗ってついに完全版がここ日本でも公開だ。

〜あらすじ〜

そこは犯罪者や逃亡者が身を潜める南米の奥地ポルベニール。
ある日、ジャングルに囲まれた山の上にある油田で爆発事故が発生。炎は燃え盛り、消防車では拉致があかない。そこで石油会社は、爆発物で炎を吹き飛ばし鎮火するという方法を考案。しかし、肝心の爆発物は300キロ離れた場所にあるニトログリセリンのみだった。
石油会社は町のならず者4人を大金と引き換えにスカウトし、トラック2台で油田へと輸送させることに。ニトログリセリンに刺激を与えたらアウト。崖っぷちの道や、ジャングルの中を果たしてトラックはニトロを爆発させずに走破することができるのか・・!?

〜見どころと感想〜

一番の見せ場は何と言ってもポスターにもある吊り橋のシーンだ。このシーンを見れただけでもこの映画を劇場で見た意味はあった。スタントが何人か死んでいるのでは?と思えるほどの危険なシーンで、手に汗握るとは正にこのこと。爆発寸前の爆弾を背負いながら、ボロボロの吊り橋をトラックで渡るとか正気の沙汰じゃない!

他にも見せ場は数あれどそれもほとんどが後半。前半は4人の男たちが何故ポルベニールに流れ着いたのかを順番に回想していくようなシーンの連続で非常に眠い。だが、睡魔を突き破る後半からの怒涛の迫力で一気に巻き返してしまう、かなり強引な力技が炸裂している作品でした。
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