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恐怖の報酬 オリジナル完全版のmasaのレビュー・感想・評価

3.9
巨匠ウィリアム・フリードキン監督。
フランス映画の傑作アンリ=ジョルジュ・クルーゾー監督版のリメイク。
1977年の全米初公開時、『スター・ウォーズ』の直撃を受け、興行的に失敗し、フリードキンに無断で約30分カットされた短縮版が公開され、まともに評価されることなく終わってしまった残念な作品。
しかし、フリードキンの執念で、121分【オリジナル完全版】の5.1ch、4Kデジタル・リマスター化でよみがえった。

犯罪を犯し、南米の小国ポルヴェニールに逃れてきた、ニーロ、カッセム、マンゾン、スキャンロンの4人は、生き地獄のようなこの地を離れるため、各1万ドルの「報酬」と引き換えに、300キロ先のジャングルで発生した油井火災の消火に向かう。
一触即発の消火用ニトログリセリンを積み、2台のトラックに分乗して旅立ったが…

正直言って自分は、クルーゾー版の方が好みだった。人間の愛憎、裏切り、ニトログリセリンの恐怖がリアルに出ていたし、ラストもたまらなかった。

しかし、フリードキン版はクルーゾー版とはキャラクターもエピソードも少し変えているので、これはこれで楽しめた。
嵐の中ジャングルの壊れかけた桟橋をニトログリセリンを積んでいるトラックで渡るシーンは映画史上屈指のハラハラドキドキシーンだと思う😱

フリードキンはコメントで「私にはこの物語が、互いに憎み合い、争っている国々が、核爆発事故を防ぐために手を組まねばならなくなることのメタファーのように思われたのだ。」と言っている通り、単なるサスペンスものを越えている大傑作ではないだろうか。
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