昭和少年あるある…
「ちょっと!卵と醤油…買ってきて!」
かあちゃんの命令は絶対だが…おれにとってもお駄賃を稼ぐ機会でもある…
10円とか20円…運が良ければお釣りの端数をいただける…
自分の自転車がパンクしてるもんだから大人用の実用自転車に三角乗り決めて(トトロで男の子がやってたアレ)いざ!スーパーへ…
こういうときに限って店休日だったりしてもうひとつ遠いスーパーへ…
いつもは繋がれているでかい赤犬に追いかけられたり工事中で迂回路を回らされたりして…
果たしておれは卵と醤油を無事に家まで持ち帰れるのか?
そんな映画です(え?違う?)(笑)
醤油といえば監督はウィリアム・フンドーキン!オヤジギャグだな…
「フレンチコネクション」と「エクソシスト」で当時強烈に映画界に異彩を放っていました…
もう40年も前の話なんです…
ガキだったおれは映画館に行きました…それはオリジナルであるクルーゾー版を小さい頃からよくテレビの洋画劇場で観てて「なんてすごい映画だ!」と思ってたからです。
フンドーキンがリブートと聞けばそりゃ駆けつけます!
40年も前だから記憶も曖昧ですが印象はなんだかボンヤリした印象…それはやはり30分もカットされていたからなのか?
今回、「完全版」という本作を観て驚愕しました!
それは30分カット云々の問題じゃない…
大変な映画だと思いました…
それは「40年」というタイムラグのなせる技なのかもしれません…
製作時と現在までに横たわる「40年」という月日…
もちろん映画の手法や様々なものが変わってしまった(あえて進化とは言わない)のはもちろん、私たち人間の考え方、感じ方、取り巻く環境(世の中)がいかに変わったか…愕然とさせられたのでした。
南米を舞台にしてるというのもあるかもしれませんが画面から濃密に漂ってくる「生と死」のエネルギーのようなもの…
男たちの顔はどれもアブラを塗ったようにギラギラしているし眼には野獣のような目力が満ちている。
なんか今時の映画とは全然別物に見える。描きかたも違うし見てる人々も変わったと思える。
この映画に何度か登場するボロボロのタクシー(ラストにも出てきた)…車なのにものすごいオーラが出てるように見えます。
そしてこの映画の男たち以外の主役とも言えるトラック(ジャケ写)…ニトロを運ぶ前に皆で整備をするシーンが延々と続き、出発前、まるで息を吹き返したように出発…ヘッドライトやルーフライトを一斉にガーンと点けて逆行に浮かび上がる。
その勇姿は間違いなく「生き物」に見えて異様な高揚感を与えてくれます。
ラストシーンはまったく記憶になかったが40年前にはカットされていたのか?
そうだとしたら…そりゃ別物だよ…ものすごく好きなラストシーンだった。
「はい、ごくろうさん」
母ちゃんは端数の10円玉を数枚くれた。
「いやいやいや…今回は…」
「何?!」
「いや何でもない…ありがと」
おれはそれ以上は何も言わなかった…
人間、欲をかいたらろくなことにならない…
高い報酬にはそれなりのリスクと「恐怖」が潜んでいるのだから…
私と踊っていただけますかな?