よう

37セカンズのようのレビュー・感想・評価

37セカンズ(2019年製作の映画)
4.5
脳性麻痺の主人公の自立を描いた作品。

何より主演の佳山明さんの無垢さを放つ存在感が大きい。それでいて、けっこう大胆な描写もあって、切実さもしっかり与えてくれる。

劇中の人物、主人公にとっては好ましいわけではない人物たちでも極端に悪い人ではないんだろうなと。サヤカにしても男娼にしても。
もちろん、過干渉な母親も。
ここらへんのバランスがとても現実的だと思う。

ゴーストライターや性のこと、そして母親との関係性という主人公を悩ませる問題があって、そこから開放される糸口が出てきては閉ざされる展開。淡々としてるようで、スリリングな話運びで見入る。
母と娘のあの喧嘩って、事情は違えど、干渉からの自立という意味で我が事として誰もが実感することではあるなと。
終盤の展開だけ、やや急に感じてしまった。俊哉もそこまで面倒見るかなって。とはいえ、行った先で会う人物とのやり取りには感動。
〈こうなったかもしれない〉を一度出してからの自己肯定、前向きさをこちらにも与えてくれる。

動き出す絵ハガキなどのちょっとだけファンタジックな感じや、顔に見えるビルとかミニチュアっぽい夜景とか、かわいらしい。

キャストの皆さんの存在感もよくて、母親役の神野三鈴さんはすごいハマってるし、渡辺真起子さんも板谷由夏さんもフラットな感じが自然。大東俊介さんの自然とそばにいる感じもよかった。
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