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37セカンズのmakiのレビュー・感想・評価

37セカンズ(2019年製作の映画)
3.7
ジャケットの雰囲気から勝手に洋画、もしくはアジアの映画だと思っていたら、普通に邦画だった。
ジャケットだけでなく本編を観ても、映像が邦画っぽくなく、どことなく洋画っぽいと思っていたら、監督は外国で映画を学んだ方なのだそう。

出生時に37秒間息をしていなかったことが原因で障害が残り、車椅子の生活を送る漫画家のユマだが、実は親友のゴーストライター。
親友は売れっ子漫画家として日の目を見る存在だが、自分は社会にひっそりと暮らす存在であり、そこから脱却したいと考えたユマはある人物の言葉で大胆な行動に出る。

障害者の苦悩というよりはひとりの女性の苦悩を描いており、お涙頂戴ものではなく、終盤は家族の物語として展開していく。

中盤に知り合う障害者専門のセックスワーカー舞と介護士俊哉の存在は、親友と見せかけてユマの才能と障害を利用しているだけのサヤカと、娘の世話に依存している過保護な母親とは対象的な存在として描かれていて、障害者として自分を扱わない舞や俊哉との出会いがユマの世界を拡げていく。

とにかく動いてみて、自分で自分の世界を切り開き前を向くユマがとてもかっこいい。
演じた佳山明さんはこれが映画初出演とは思えないくらい堂々とした演技で、素晴らしかったです。
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