Marrikuri

37セカンズのMarrikuriのレビュー・感想・評価

37セカンズ(2019年製作の映画)
4.8
強い。
徹底的に非説明的。いい!
例えば、端役の渋川清彦さんが裏通りで主人公と向き合う、そのビシッと決まった優しげな立ち姿勢(輪郭)一つを見てるだけで私は、ああ、涙が。。。。
(別作品『ビー玉がどうした』のせいでマリリン女優賞剥奪の危機にいた萩原みのりちゃんが、商品価値を難なく回復させてみせたのも、OK。何のための意地悪役なのか時々わかりにくかったけども。)
焦点はやっぱり、娘役・佳山明さんと母役・神野三鈴さんの本気度だ。

そして途中から、私は映画鑑賞者じゃなくなった。これは私の参加する「戦い」だった!! 覚悟を内から新たに掻き寄せ掻き寄せ、直視続行。
細かいアラなんてどうでもいいよ。空回りはどこにもなかった。映画燃料が(願いも、狙いも、お金も)すべてスムーズに画と音に結花し結実してた。あの『ゴンドラ』や『オアシス』や『東京物語』をところどころが連れてきてくれたことが印象悪いなんて、ない。
もうあと一穿(うが)ちの催涙セリフが終盤数カ所にあればというのは、あるかも。

さて、終わってしばらくして、気づいた。作品と私とが戦ったんじゃなく、「作品&私」が「人間の無意味さ」と闘ったのかも。拳を握って泣いてほほえむためのタッグチーム体験だったんだ。
もしも、ちょっとでも創造的に生きたい日本人(現役映画監督を全員ふくむ)が、この作品を観て「嫉妬」しないなら、その人は物づくりを即刻やめたほうがいい。
くだらないものを相当嫌いつつ、こういう真の良作にだけ素直になっちゃう私って、つくづく映画鑑賞に向いてなかったりすると思う。。



▼ネタバレ▼

① “パスポート問題” について
申請から受け取りまで一週間ぐらいかかるわけで、「あらかじめ所有してた。しかもリハビリに行くさいに携帯してた」という解釈以外ナシ。
となると、主人公をゴーストライターとして利用中の友が、かつてもっとピュアハートを持ってた頃に主人公への感謝と友情から「一緒に台湾にでも行かない?」とキャッキャな誘いをかけた、という過去が濃厚にありうる。誘われてイケイケでパスポートを作っちゃったんだけど、しかし、いざ旅行の申し込みという時に母から「あなたが海外になんて!?!」と猛反対され、ぐしょ泣きして諦めた。「そういう閉じ込めを愛と責任感で強いる母、へのささやかな反抗として日頃パスポートを肌身離さず “外出先で人に見せたりして自分を慰めるために” 持ち歩いてたの」&「幼なじみとの蜜月はキラキラしてたんだから」という大切な前段を、私たちは想像可能。。
もっと生臭く、「家出のためにはと、またはホストクラブ等にハマった場合にと、カードローン用の身分証明に使えるパスポートをいくぶん計画的に携帯してた」可能性も。。

② 介護士の曖昧モコについて
彼とはぶっちゃけ恋愛感情の共有とかあった? 友情だけ? 親切すぎるみたいな彼の背景は?(監督は、恋愛未満の信頼関係を描くべしと思ったらしいけど。それと、彼の鬱病み的な境遇をしっかりめに設定して撮ってから編集で省いちゃったらしい。)
そんなモヤは、名作『ローマの休日』を思い出せば解消しそう。あれの主役男女(王女と新聞記者)は、キス止まりのように見えるけども、「ずぶ濡れの夜に初キス→部屋に帰って一緒にすごす→お料理なんかしてあげようと願う王女」の途中で「抱き合ったかも」とオトナの想像を許してくれる時間帯をもつ。でも、キス以上のことをしたかどうかは作品の本質に無関係だし、ロイヤルな題材を軽々しさで損なうおそれもある。だから、ローマの物語は私たちにご自由な “節度ある” 解釈を任せたってこと。
こちらの介護士と彼女は、タイで何泊もするあいだ、きっと膝つきあわせてお互いの過去などを真摯に熱くしみじみと語り合ったことだろう。まれに親身さだけを貫き通せる紳士というのは実在するものだけど、キスぐらいには自然な流れで行き着いたかも。
(なぜなら、、、 帰国後、アダルト漫画誌編集長に、わざわざお礼口実で新作を見せに行ってる彼女。中身はノンアダルトっていうけど、でも、牧歌的なだけのお子様モノだったらそもそも見せには行くまい。たぶん、題名やファーストカットに、何らかのリアルな恋愛みを含んでたんじゃないかな。ものすごくすてきな “友情超えキス” からスタートとか! 一目で才能の凄味を編集長に伝えるだけの、普通じゃ描けない真実な人づきあいでも描いてんじゃないかな? キスを通過したアダルトな実存者として。まあ、そのあたりはどうでもいいけど。)



♡報告♡
全然関係ないけど、おととい、生まれて初めてキャビアを食べた。小瓶で20㌘で3000円だよ。クラッカーのクリームチーズ乗せを用意して、自撮りなんかしてからわくわくわくわく瓶を開け、小さじでクリームチーズの上にごく少量のキャビアを乗せようとしたら、、ワッ、一粒落ちちゃった! 一番心配してた事態! いただきますの前に血相変えて私はその落とした一粒を床に、セーターに、ボトムスに捜した、、、けど、見つからない!! まるで漫画みたいな失敗!! 結局、立ち上がったりお腹や腿をはたいたりして二分間ぐらい捜索したけど、行方不明の一粒ちゃんは発見できず!
諦めて、その一粒以外のキャビア(&チーズ&クラッカー)を食べ始めた。ん?  味がしないぞ。。。
チー&クラッカに味が消されてる。さじから直接食べてみた。やっぱり、塩味とかすかなヌルチビュ感以外、舌に来ない。
食べても食べても、何かよくわかんない。トビッコやイクラのがはるかに美味しいし。
最後、白ゴハンの上にぱらぱらさせて食べてみた。ちょっとは味がわかった。でも、べつにどうってことない。しょっぱみ+あっけなさ+謎み。それだけ。のどごしも、単にふしぎ。
こんなもん? 

一粒ちゃんは、その後も見つかってない。。