Searoo

37セカンズのSearooのネタバレレビュー・内容・結末

37セカンズ(2019年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

これまでの私は自分自身の生き方としての、個として「強くあること」、というのをずっと考えてきましたが、この作品では、他者との関わりの中で強くあるとは、ということについて初めて深く考えさせられたと思います。

私が一番印象に残ったのは、渡辺真起子さん演じる舞さんの存在。舞さんはゆまちゃんを一人の年頃の女性として見て、ゆまちゃんと飲んだり買い物したりしてきたアネゴ肌の女性、というのが私の第一印象だったかな?そして、最も心が動かされた家出のシーンでは、家出するなら思う存分やりなさい、気が済んだらお母さんにちゃんと連絡しなさい、と言った。ゆまちゃんが自分の周りに絡みつくしがらみを自力で解こう、変わろうとする姿を尊重し、後押しした舞さんはすっっごく魅力的だった。

最近は、他の家の子どもに対してそこまで深く関わる大人って少ないように常々感じている。それはきっと、その家の親からの批判とか、そういうトラブルに発展するのがなんだか怖いし、面倒だし…という感じなのかな、と思う。でも、舞さんの姿を見て、舞さんのそれは他者への干渉というのとは違い、大人のあるべき姿というか、大人が本来持つべき、温かさが滲む強さというようなものが感じられた。彼女の存在が、ゆまちゃんが自由に生きる一人の大人として成長するのに非常に大きな影響を及ぼしていたと思う。

私も舞さんのような大人になりたいと、また一つ夢が増えました。ぜひ、多くの方にこの作品を観て頂きたいと心から強く願います。 

余談かもしれないけれど、大東さんの目が非常に素敵でした。介護福祉士として、そして、舞さんと同様、ゆまちゃんの成長を支える一人の大人としての温かく優しい瞳をしていらっしゃって、大東さん演じる俊哉さんも本当に憧れる方でした。介護福祉士という職業についての理解が少し深まりました。
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