EDDIE

37セカンズのEDDIEのレビュー・感想・評価

37セカンズ(2019年製作の映画)
4.4
母の想いも娘の想いも理解できる。その閉塞感から放たれ手に入れる自由は互いを知る一つの鍵なのかもしれない。脳性麻痺で車椅子生活を余儀なくされた少女の新たな旅立ちにエールを贈る良作。渡辺真起子、板谷由夏のベテラン女優の好演が印象的。

終わり方が凄く良かった。希望を見出せる作品。とてもいい。障がいを持つ人の目線でその苦労や悩み、葛藤が映し出されており、それなのに同情を買うような作りになっていないのがいい。あと大東駿介も優しくて素敵な演技してましたね。

FilmarksやTwitterで悉く高評価が目立つ本作。チェックはしてましたが、優先順位低めだったのでスルーしそうでした。ただこれだけ高評価相次ぐと無視できない!と早朝の上映時間に観に行ってきました。
もう結論から申し上げると「観に行って良かった」です。
結構重い話なのかなと思ってましたが、作風がさほど同情を買うような作りはなく、あくまで1人の女性の自立を描いた作品として好印象。
途中から登場する渡辺真起子が演じる舞さんがとても良い役割を果たしていましたね。障害があるなしで全く接し方も変わらないし、本当にこんな人がもっと世の中増えていけば暮らしやすくなるのになぁと。
さらには介護士の男性・俊哉を演じる大東駿介が素晴らしい。恋愛ものでイケメン役をしている印象が強く(何を観たというわけでもないんですが)、今回のような縁の下の力持ち的な優しさを備えた役回りは大変好印象でした。主人公の貴田ユマを演じる佳山明とのバディムービーっぽくなっていくのも良かったですね。

序盤は障害を持つことに悩み苦しむ主人公という構図でしたが、後半からは自由に羽ばたき自分の可能性と新たな道筋を求めて行動する希望のある運びとなり、感動的なポイントは多く涙もつい浮かぶんですが、悲しいとかそんな感情ではないんですよね。「あぁ良かった」とか「こんな愛情に気づけて良かったよね」とか前向きな感動の仕方。

極め付けはエロ漫画雑誌の編集長・藤本を演じる板谷由夏の潔い締め方が素晴らしい。ユマが自らの生き方に影響を与えてくれたと感謝して、さらにはそういう終わり方するかと。
最近邦画ダメ論争がTwitterの映画ファン界隈で巻き起こっているようですが、ダメと思っている方には是非とも本作を観ていただきたいですね。

邦画も素晴らしい。

※2020年劇場鑑賞32本目
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