母に私が生まれた時の話を尋ねた。どうやら、私は産声をあげず、数秒間、息が止まっていたらしい。何かが気道に詰まっていたらしい。産まれた後には沢山の検査を受けていたらしいが、今どうにかここで毎日を送っている。
ユマと私にどんな差があったのかは分からない。「何秒早かったなら、遅かったなら」、なんて考えても分からない。考えることに意味はあるのかは分からない。「もしも」を考えるよりも、好奇心と少しの勇気を持って、踏み出して、目の前にある人やものを抱き締めて生きていくんだよ、とユマにいわれた気がする。ユマはこれからも変わっていくだろうけれど、きっと、根っこは変わらない。ユマの物語をもっと観ていたい。
私は臆病で、どこかに踏み出す度胸もない。けれど、ユマにいつか話せるように自分の物語を編んでいきたいなと考えていると、どこか初夏のすがすがしい風が部屋を通り抜けた。
邦画を久しぶりに観た。
渡辺真紀子さん、板谷由夏さんは憧れるし、佳山明さんと、神野三鈴さん２人のシーンは一秒たりとも瞬きしたくなかった。
