生まれながらに脳性麻痺で手足が自由に効かないユマが現実の厳しさにもがき苦しみながらも、夢を持ち人に出逢い壁を乗り越える中で成長をする過程を描いたドラマ。物語も役者も演出も音楽も全てが自分に刺さる作品でした。主人公は障害を持つ女性ですが、描かれているのは普遍的なテーマだと思いました。"自分が変われば世界が変わる"。熱いメッセージです。
ユマ目線で描かれる世界はとても残酷。ユマをゴーストライターとして扱う漫画家の女子は自分の体裁が大事で彼女を下にしか見てませんし、母親は彼女を過保護に扱いすぎていて彼女が本当にやりたいことに制限をかけようとします。それでもユマは自分の直感を信じて一歩踏み出すことで彼女と対等に向き合ってくれる人たちに出逢います。"やりたいこと"の前に壁があっても乗り越えて行きます。そして、やがて彼女の行動で周りの人達の向き合い方も変わって行きます。これこそが監督が描きたかった希望ではないでしょうか。
https://www.banger.jp/movie/27161/
監督のインタビューを拝見しましたが、この作品が監督にとっての長編デビュー作で、主演の佳山さんもお芝居の経験が無かったというから驚きです。期待が大きい監督らしく佳山さん共々次回作な非常に楽しみです。
演出の点から言うとユマ目線の世界が大胆に描かれるシーンが好きでした。漫画の世界が広がっていく描写なんか正に彼女の夢の空想の世界が広がっていくようで伝わってくるものがあります。
音楽も「コンプレックスはアートなり」と語るCHAIが主題歌を務めており、"NEOかわいい"がこれほどマッチする作品もありません。
とにもかくにも、あらためて物語も役者も演出も音楽も何もかもが自分に刺さる作品でした。