ペルシャ猫

紅き大魚の伝説のペルシャ猫のネタバレレビュー・内容・結末

紅き大魚の伝説(2016年製作の映画)
3.4

このレビューはネタバレを含みます

表情、色使い、動作、色んな瞬間にジブリのキャラクター達の面影を感じる。特にクンの妹が大粒の涙を流しながら泣くシーンはまさにそれだった。
これに加え、植物や風、水を操る人々の動きや姿はavatar: the last airbender/ legend of korra を彷彿させた。雰囲気はジブリとこれを足して2で割った感じかも。

お話の内容は寓話的である。誰かを生き返らせるという行為は、この世の法則上無理なことで、チートして何かを手に入れようとすると、欲してるものよりも多くのものを失う、といった感じであった。

主人公チュンの側にずっと居続けながらも最後まで振り向いてもらうことなく、健気に命を差し出したチウが不憫でならなかった。けど、最後までチュンの欲しいものを正確に汲み取り、それに応えようとする姿は、多分チュンにとって1番都合のいい愛の形だったのかもしれない。

チュンと一緒に暮らす村?共同体?の人々の個性というか、役割や能力が多様で、どのあたりが神的なポジションで、誰が何をしてるのかよく分からなかった。ちょっと設定欲張ったかな、という消化不良な感じは少しする。私の理解不足なだけかもしれない。

そして私は死にゆく優しい爺さんに弱い。死してもなお、立派なベゴニア?の木となったお爺ちゃんがチュンを守ろうとするシーンが、個人的に一番心にきた。

まぁ、若気の至りということでチュンの世界の法則を打ち破るような身勝手な行為も最後は結果オーライみたいな感じで締めくくっていたが、個人的には損害の方が大きいと感じたので彼女の望みが無事に叶ってめでたし、という心情にはなれなかった。

あと、言語の壁は大きい。多分もっと色んなことを言ってるんだろうなぁ、もっと意味が含まれてるんだろうなぁ、と思いながらも短い字幕でキャラクターの心情に寄り添わなくてはならなかったことがもどかしかった。
フランス語の”燃ゆる女の肖像”でさえ、少しフランス語をかじっただけだったが、そしてregarder!しか聞き取れなかったが笑、まだ何となく、しがみつくことができたと思う。多分、人間の表情の方が多くの情報を伝えてるからだと思う。しかし、アニメーション越しの中国語だと全く歯が立たない。悔しいのぅ。

そして、人間の世界はチュン達の住む平和な世界と比べて、命をかけてまでいくほどの場所ではない気がする。